界的に拡大している「民泊」。民泊を目的とする不動産売買も増加する反面、大手参入での撤退も見え隠れしている!

世界での動き・・

スペインのパルマ・デ・マジョルカ島の首府パルマ市(人口44万人)は条例にて7月以降、これまで観光客に貸していたマンションのレンタルが禁止されることになった。同市内で観光客にレンタル出来るのは一戸建ての家だけとした。

外国からの観光人口が急増しているスペインで、パルマ・デ・マジョルカは観光客が好んで訪れる所である。島全体の人口は100万人を幾分越える人口であるが、観光シーズンのピーク時には島の人口は200万人にまで膨れあがる。その内訳は、英国、フランス、ドイツからの観光客が全体のおよそ25%を占めている。(参照:「Ultima Hora」)

その影響で、外国からの観光客がエコノミーに宿泊できる手段としてマンションの所有者が彼らに一時的にマンションを貸すことができるようにするというサイドビジネスとしての「民泊」が最近流行っている。この手段によって、マンションの所有者には副収入がもたらされるということで、スペイン全体で景気の低迷している時にもってこいのビジネスとなっているのだ。

◆2万室のマンション民泊も、9割以上無許可

2015年から昨年までパルマ市内にこのような目的で提供されているマンションの部屋は2万室あるという。ところが、このほとんどが無許可民泊で、ちゃんと市役所からレンタルできる許可をもらって規約通りの部屋にして提供しているのは僅か645室しかないということが調査で明らかにされている。よって、無許可で貸しているマンションの持ち主はその収入に対しても税金を払っていないことも問題視されている。(参照:「El Pais」)

そして、無許可・許可に限らず、このマンションにおける民泊がさまざまな問題を起こしているのだ。

観光客に貸しているマンションの建物には地元の住民も住んでいる。問題は観光客が夜遅くまで部屋で騒いだり、マンションの共有する通路やエレベーターを汚す、といったことから地元の住民から不満が募っているのである。また、酔っぱらって路上で立ちションを平気でするといったことも起きている。

地元の住民の不満を如実に示す現象として、2014年に市民から民宿している観光客に対する苦情が市役所に伝えられている件数は、42件であったのが、昨年は192件に急増しているのである。このせいで観光客に貸しているマンションの持ち主が払った罰金は40万ユーロ(5200万円)にまでに膨れ上がっているのである。(参照:「El Pais」)

◆賃貸料は2~3年で4割近く値上げ

この現象の影響で地元の住民以外に被害を受けている人は、スペインの他の地方から事情があってパルマ市に長期住まねばならなくなっている人たちが住める適当なマンションが見つからないという問題である。しかも、仮にあっても賃貸料が割高になっているといった問題に直面している。賃貸マンションの需要過多で、この2~3年で料金は40%の値上がりをしているという。(参照:「Voz Populi」)

外国からの観光客ではなく、今年に入って新たに加わったEUからの長期滞在者は2690人、EU以外からは3374人、そしてスペイン人は191人となっている。スペイン人の場合、昨年は2738人であったそうだ。(参照:「Diario de Mallorca」)

そこで、3政党が連携した市政府は4月の議会で7月よりマンションを観光客用に貸すことを全面的に禁止することを決議したのである。

その例外として、一戸建ての家の場合は貸すことが出来るとしたのである。一戸建ての場合は隣人などに迷惑を及ぼすことは少ないと見たわけである。但し、工場団地、歴史地区、空港に関係した場所はこの例に当てはならないとした。パルマ市内には一戸建ての建物は2万3000戸あるという。それは市内にある全建物18万戸の12%に相当する戸数だそうだ。