仲見世商店街の「家賃16倍」トラブル。大幅増額は法的に可能?

東京・浅草の人気観光地の一つ、「浅草寺」の表参道につづく仲見世商店街に対して、土地と建物を所有する浅草寺が約16倍にあたる家賃の値上げを提示したことから、トラブルになっている。

産経新聞の報道(10月30日)によると、仲見世通りの土地は、もともと浅草寺が所有していたが、明治4年に所有権が国に移った。明治18年、東京都がそこに、れんが造りの建物を建てた。明治44年、土地は浅草寺に返還されたものの、建物は引き続き都が管理してきた。

今年7月、都が浅草寺に建物を2000万円で売却することに合意し、所有者が土地も建物も浅草寺になった。そこで、今までよりもはるかに高額の賃料が提示された。10平方メートルあたり月1万5000円だった賃料を同25万円に値上げするというものだ。

ただ、不動産業の関係者からは「妥当な金額ではないか」との評価もあるという。今回のように、家賃16倍の値上げという大きな変更は法的に問題ないのだろうか。不動産問題にくわしい高島秀行弁護士に聞いた。

●賃料が周辺とくらべて安い場合、貸主は増額を求めることができるが…

そもそも、賃料の増額はどういう場合にできるのだろうか。

「法律上では、税金が上がったり、土地や建物の価格が上昇したりして、建物の賃料が周辺相場とくらべて安いと思われる場合は、契約書で定めていなくても、賃料の増額請求ができるとされています(借地借家法11条)。

ただ、賃料の増額請求については、借主が任意に値上げに応じないと、貸主は調停を起こす必要があります。調停でも話し合いがまとまらない場合は、貸主は賃料を決める訴訟を起こすことになります。

そして、最終的に賃料がいくらが妥当かは裁判所が決めます。

裁判官が、賃料の算定をするのはなかなか難しいので、訴訟の中で、裁判所が選んだ不動産鑑定士に鑑定してもらって、賃料を決めることになります」

では、周辺相場から「16倍が妥当」だった場合、賃料の増額も「16倍」まで認められるのだろうか。

「そうではありません。賃料の鑑定の際は現在の賃料と適正な賃料との差額を貸主と借主に配分するという手法がとられています。そして、その差額の配分割合は50%とされることが多いです。
今回のケースで言えば、浅草寺側が増額請求している25万円が適正な賃料だったとすると、現行の1万5000円と適正賃料25万円の差額23万5000円です。その50%にあたる11万7500円が値上げ金額です。そうなると、裁判所で認められる賃料は、13万2500円となります」